距離が縮まった日
クズ男とラインの交換をして数日。
私たちは毎日ラインのやりとりをしていた。
お互いオタク趣味があったので、好きなアニメの話とかゲームの話とかそんな他愛もない話ばかりだったけど毎日話し相手がいるのは嬉しかった。
当時私はニックネームしか教えてなかったので
「下の名前なんていうの?教えて?」
「へーもじょ子って言うんだ!じゃあもじょ子って呼んでいい?」
という感じでチャラ男のように私との距離を縮めてきた
私は本名で呼ばれるのが好きじゃなかったので、本名は恥ずかしいからやめてくださいと言ったところ
「どうして?家族には名前で呼ばれてるでしょ?」
と言われ、じゃあ好きに呼んでくださいと答えました。
手慣れた感じで下の名前呼びされ、この人かなり遊んでるんだろうなぁと思った記憶があります。
私の舞台本番がきた。
明日から本番なんだけどご予定どうですかー?と連絡しても「わからない」と言われる。
こりゃー絶対来ないなぁと思いました。
大体こういう返信して来る人は95%来る気がないし、実際来ないです。
せっかく毎日やり取りしてて、話してて楽しいと思いはじめたのに、これできてくれなかったらきっと私はめっちゃ冷めるだろうな〜と思っていたら、当日の夕方
「今日観に行きます!頑張って!!」
とラインが。
正直ときめきましたね。
というのもどうせ来てくれないと思っていて、この数日が終われば心の距離ももう離れちゃうだろうと覚悟していたからです。
なので、開演3時間前とかだったと思うのですが、めちゃめちゃ嬉しかったです。
そしたら、さらに1時間後
「事務所から呼び出しかかったからやっぱり行けないかも」
なんやねん!!!!!!!
喜ばせといて突き落とす作戦か!!!!!!!
さっきときめいたばっかだったけど、もう普通にガッカリして
「仕事なら仕方ないね、予約キャンセルしておきます」
と返信。
その後音沙汰はなく、完全にもう終わったなと思いました。
せっかくちょっといいなって思ってたのに、本番前にテンションだだ下がり。
落ち込んでても仕方ないので、無理矢理テンションあげて本番の舞台に出ました。
私はオープニングダンスで上手(舞台右手側)で踊るのですがオープニングで登場して位置についたとき客席を見たら
いたーーーーー!!!!!!!!
上手最前にクズ男さんは座っていました。
いや、もうね、めちゃめちゃときめきました。
今思えばこの行く行かないのやり取りも全てクズ男の作戦だったんじゃないかと思うほど恥ずかしながらまんまとときめいてしまいました。
終演後、ロビーにいくとクズ男がいました。
私は嬉しくて嬉しくて思わずハグしてしまいました。
元々男女関係なくハグしてしまう人間なので、下心とかまるでなしに自然に抱きついてました。
だってめちゃめちゃ嬉しかったから。
やっぱり行けないって言われたあと連絡とれなくなったら普通は来てないと思うからね。
それが最前にいるとか嬉しくないわけない!
ロビーでは他にもお客さんがいたので、少ししか話せなかったけどクズ男は
「すごく良かった…今度ゆっくり話そう」
と言って帰って行きました。
開演前はもう終わった…と思ってた分、喜びもひとしおでした。
その日の夜クズ男からラインがきました。
「もじょ子可愛い…本当に可愛くてドキドキした」
「会いたい」
「明日会える?」
確かに私は舞台上で見せ場もあったのですが、別に美人役とかでもなく
そもそも私はどちらかというとブスに分類される人間なので、可愛いと言われても嘘だろ…としか思えないのですが、私の舞台で感銘受けてくれたんだなぁとちょっと嬉しくなって翌日会う約束をしました。
翌日も本番はあったのですが、本番終わったらすぐにクズ男の待ち合わせ場所・新宿に向かいました。
クズ男は新宿のつるとんたんに連れて行ってくれました。
無料で3玉まで追加できるからコスパが良くてお気に入りなんだと話していた。
後で知った話ですが、クズ男は落としたい女を必ずここに連れてくるそうです笑
つるとんたんではどれだけ私が魅力的に映ったかと話してくれて、自分的にも渾身の舞台だったので普通に嬉しかったです。
私がクズ男のお芝居の話をした時、いきなり「しっ」と言われたのでびっくりしたら
ラインで
「仕事の話は外でしないで。ファンの人が聞いてるとまずいから」
と送ってきました。
うーん…確かに言ってることは正しいんだけど…
そもそも全くメジャーな仕事してないのにそこ心配する必要あるのかなぁ…
確実に名前聞いても誰もわからないような無名がファンに聞かれてるのを気にするなんて…
メジャーなアニメとか出てるならまだしも、同人ゲーム程度しか出たことない声優がそこまで意識高いのか…と少し驚きました。
と、多少微妙なことはありましたが、楽しくお食事を済ませ、その日は別れました。
ん??と思うこともありましたが、私は確実にクズ男のことを好きになり始めていました。
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